厚生年金保険は払い損?保険料が戻ってくる「脱退一時金」制度とは

社会保険

「健康保険はいいけど、厚生年金には入りたくない」という外国人労働者の声を聞くことがあります。どうしてだと思いますか?

厚生年金保険は、日本の社会保険の1つ。医療費の負担が軽くなる健康保険とセットで加入義務があります。

厚生年金保険は、主に老後の生活資金の一助として積み立てられますが、お金を受け取れるのは、65歳になってから。何年か働いたら帰国する予定の人は、掛け捨てにならないか不安になってしまうようです。

でも、厚生年金保険の役割は老後の備えだけではありません。日本で働くあなたにもしものことがあったときに、残された家族の支えにもなれるのです。

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厚生年金保険のメリットをお伝えしましょう。

■厚生年金保険のメリット
①老齢年金がもらえる
65歳から生涯にわたり一定額のお金が支給されます。保険料を納付した期間(免除期間含む)が10年以上あることが条件です。

②障害年金がもらえる
病気やケガで医師に障害があると診断された場合、症状により1年~生涯にわたり一定額のお金が支給されます。65歳未満で、保険料を納付した期間(免除期間含む)が加入期間の2/3以上あり、診察日の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが条件です。

③遺族年金がもらえる
もし日本で亡くなってしまった場合、配偶者と子どもにお金が支給されます。65歳未満の場合、保険料を納付した期間(免除期間含む)が加入期間の2/3以上あり、死亡日の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが条件です。

万が一の備えと考えると、厚生年金保険はけして払い損ではありません。

また、厚生年金保険を使わずに帰国することになった場合は、「脱退一時金」の制度を利用すれば、自分が払った保険料の多くは返還してもらえます。

■脱退一時金の主な支給要件
・日本に住所がない
・厚生年金保険(または国民年金)を脱退している
・厚生年金保険(または国民年金)を納付した期間が6か月~10年未満である

脱退一時金は、日本に住所がなくなった日から2年以内に請求する必要があります。請求できる上限は60カ月(5年)分です。本人か代理人が、日本年金機構や各共済組合に必要書類を提出して手続きします。

ただし、帰国して脱退一時金を受け取ってしまうと、それまでの厚生年金保険の納付期間の実績はリセットされてしまいます。

たとえば、会社で厚生年金保険に加入して、技能実習生として5年、さらに特定技能に移行して5年働いたとすると、老齢年金がもらえる10年の条件はクリアしたことになります。この場合、脱退一時金よりも、65歳から生涯、一定額をもらう方が、受け取る総額は多くなります。

脱退一時金をもらわず、将来のために納付期間の実績を温存するのも一つの方法です。老齢年金の請求は、海外からでも大丈夫です。

脱退一時金についての詳細は、日本年金機構のホームページに外国語の説明ページがあります。気になる方はご確認ください。
「脱退一時金に関する手続きをおこなうとき/日本年金機構」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/sonota-kyufu/20150406.html

自分の状況や将来設計に合わせて、厚生年金保険を上手に活用してくださいね。

本コラムは、日本での生活に役立つ知識や情報をお届けし、頑張るあなたを応援しています。

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